遣り取り
やりとり
名詞
標準
文例 · 用例
かぶった処で、背負った処で、人間のした事は、人間同士が勝手に夥間うちで帳面づらを合せて行く、勘定の遣り取りする。
— 泉鏡花 『紅玉』 青空文庫
湊の対応ぶりに有頂天になった相手客が、なお繰り返して湊に盃をさし、湊も釣り込まれて少し笑声さえたて乍らその盃の遣り取りを始め出したと見るときは、ともよはつかつかと寄って行って「お酒、あんまり呑んじゃ体にいけないって云ってるくせに、もう、よしなさい」 と湊の手から盃をひったくる。
— 岡本かの子 『鮨』 青空文庫
ただ、遊んで行けばいいのよ」 先程からわたくしたち二人の話の遣り取りを眼を大きく見開いてピンポンの球の行き交いのように注意していた雛妓は「あら」と言って、逸作の側を離れて立上り、今度はわたくしの傍へ来て、手早くお叩儀をした。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
そのまじめくさつた歌にはをかしくて堪へられなかつたが、無理に我慢して歌詠み仲間の礼儀に歌の遣り取りをしたものだつた。
— 岡本かの子 『上田秋成の晩年』 青空文庫
そうかと思うと、そのことはけろりと忘れたように嘉六はまた雑談を続けて、池上と盃の遣り取りを急がしております。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
兎も角も下品ね」 わたくしは、以前聞き馴染んだ母の許に集まって盛んに遣り取りした下町の人達の揶揄の言葉の調子を、われ知らず茲に真似し出して来て、薬が強過ぎるとは知りながら、なおも止めどがありませんでした。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
老僧 ――藪越のものの遣り取りも稽古が積んでうもうなられた。
— 岡本かの子 『ある日の蓮月尼』 青空文庫
かぶつた処で、背負つた処で、人間のした事は、人間同士が勝手に夥間うちで帳面づらを合せて行く、勘定の遣り取りする。
— 泉鏡花 『紅玉』 青空文庫