浄福
じょうふく
名詞
標準
文例 · 用例
しかもそれが、最高浄福の瞬間だそうですけども、けっして倫理的ではある代りに道徳的ではなく、そこにまた、殺人の衝動を否むことは出来ぬ――とあの方は仰言いました。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
溢るゝ浄福、和やかな夢見心地、誇りが秘められなくて温厚な先生の時間などには、私は柄にもなく挑戦し、いろ/\奇矯の振舞をした。
— 嘉村礒多 『途上』 青空文庫
これをこそ浄福というのだ。
— 倉田百三 『女性の諸問題』 青空文庫
十三歳加悦村浄福寺に養はれて住職禮道の二男となる。
— 與謝野禮嚴 『禮嚴法師歌集』 青空文庫
ここに含まれる特有な道徳問題は、単に善(或いは悪)や幸福(乃至浄福)の問題ではなくて、恩寵であり永生であり、そしてもっと大事なのは、之に直接関係のある悪(根本悪)と自由意志との問題なのである。
— 戸坂潤 『道徳の観念』 青空文庫
世界の根柢には愛が横たわる、人間的自由の目的は絶対知としての浄福である。
— 戸坂潤 『辞典』 青空文庫
なぜなら、ただこの神的荘厳の観想にのみ他界の生活のこの上ない浄福の存することを我々は信仰によって信じているのであるが、そのようにまた今我々は、かかる観想によって、もとよりそれは遥かに少く完全なものであるとはいえ、この世の生活において許された最大の満足を享受し得ることを経験するからである。
— MEDITATIONES 『省察』 青空文庫
もつとも、不浄の地を転じて浄福の地に化することは、古今東西その例に乏しくないやうだ。
— 神西清 『ハビアン説法』 青空文庫