甲走った
かんばしった
形容詞-語幹
標準
shrill
文例 · 用例
音声としては、甲走った最高音よりも、ややさびの加わった次高音の方が「いき」である。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
このオソラクが甲走った声であったので、自分はふと耳を立てると、男の声で「オソラクってそりゃ何の事だ。
— 寺田寅彦 『雪ちゃん』 青空文庫
」 甲走った早口に言い交わして、両側から二列に並んで遁げ出した。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
亭主はいよいよ心|臆し、団扇にてはたはたと、腰の辺を煽ぎ立て、景気を附けて語りけるは、「ちょうどこの時分用事あって、雪の下を通りかかり、かねて評判が高いので、怯気々々もので歩いて行くと、甲走った婦人の悲鳴が、青照山の谺に響いて……きい――きいっ。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
ただだだっ広い中を、猿が鳴きながら走廻るように、キャキャとする雛妓の甲走った声が聞えて、重く、ずっしりと、覆かぶさる風に、何を話すともなく多人数の物音のしていたのが、この時、洞穴から風が抜けたように哄と動揺めく。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫
」 と差配になったのが地声で甲走った。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
大事に革鞄を抱きながら、車掌が甲走った早口で、「御免なさい、何ですか、何ですか。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
と、「まあ誰ぞいの」と機を織っていた女が甲走った声を立てる。
— 鈴木三重吉 『千鳥』 青空文庫
作例 · 標準
「誰か、助けて!」という甲走った叫び声が、霧の立ち込める森の奥から聞こえてきた。
セールの開始とともに、待ちわびた客たちの甲走った歓声がデパートの入り口に渦巻いた。
追い詰められた犯人は、甲走った声で支離滅裂な要求を叫び続けている。
彼女は極度の緊張に顔を強張らせ、普段の落ち着きを失った甲走った調子でスピーチを始めた。