食入
しょくにゅう
名詞動詞-サ変
標準
eating into (esp. insects and larvae eating into fruit, etc.)
文例 · 用例
わたくしを取巻く幾つかの奇矯ないのちは、わたくしに気附かない蝕みをわたくしの身心に食入らせてわたくしを意外に疲労さしたようです。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
木地に食入って吾を磨くのは実感だのに、私は第一現実を軽蔑していたから、その実感を得る場合が少く、偶得た実感も其取扱を誤っていたから、木地の吾を磨く足にならなかった。
— 二葉亭四迷 『平凡』 青空文庫
白い二本の手は又先の様にだらりと両わきに下った、男はうつむいた目を上げてチラッと女を見あげて又食入った様に下に向いた目を動かさなかった。
— 宮本百合子 『お女郎蜘蛛』 青空文庫
わが亡骸にためらふ事なく食入りて、死の中に死し、魂失せし古びし肉に、蛆虫よ、われに問へ。
— 仏蘭西近代抒情詩選 『珊瑚集』 青空文庫
ぐいと相手の目を食入るようににらんで私は返事を待った。
— ――放浪の末、段ボールを思いつく 『私の履歴書』 青空文庫
ムッチリした指に深く食入っている。
— 江戸川乱歩 『猟奇の果』 青空文庫
指に食入っているので切らなければ抜けなかったのだよ」「それを君は」警部は真赤になって呶鳴った。
— 江戸川乱歩 『猟奇の果』 青空文庫
……さうして胸と首とには血汐の迹が滴つてゐて、咽喉にはカプリと血管に食入つた歯の迹がまざまざと残つてゐた。
— ジョン・ポリドリ 『吸血鬼』 青空文庫