雑艸
ざっそう
名詞
標準
文例 · 用例
四十二年七月S組合の白痴 雑艸園悩ましき黄の妄想の光線と、生物の冷き愁と、――霊の雑艸園の白日はかぎりなく傷ましきかな。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
かくてまた蹈み入りがたき雑艸の最も淫れしあるものは肥満りたる、頸輪をはづす主婦の腋臭の如く蒸し暑く、悲しき茎のひと花のぺんぺん草に縋りしは、薬瓶もちて休息める雑種児の公園の眼をおもはしむ。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
悩ましき黄の妄想の光線と、生物の冷き愁と、霊の雑艸園の白日の声もなきかがやかしさを、時をおき、揺り轟かし、黒烟たたきつけつつ、汽車飛び過ぎぬ、かくてまたなにごともなし……。
— 北原白秋 『東京景物詩及其他』 青空文庫
小圓太の耳に入る噺の、講釈の、一木一草――ほんのかりそめのいと片々たる雑艸までが立派に明日の糧となった。
— 正岡容 『小説 圓朝』 青空文庫
それからは長い間誰も通らないで、太陽はやや傾き、なほも爍々として、岩層、橋梁、樹木、雜艸、空低く飛ぶ鴎の羽を照らした。
— 木下杢太郎 『少年の死』 青空文庫