玉堂
ぎょくどう
名詞
標準
文例 · 用例
玉堂はん、眼鏡かけてる思て威張りなや」「ははは……」 左手で太いセルロイドの眼鏡を突きあげながら、橘玉堂はさむらいめいた笑い声を立てて、「――なにが僕が刑事なもんか。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
そら、お門ちがいや、うちの孫はまだ十やさかいな、おまはん仲人したかったら、散髪屋のおばはんとこイ行きなはれ」「聴こえるがな、聴こえたら、また朝日軒のおばはん頭痛を起しまっせ」 広島生れの玉堂は下手な大阪訛りで言って、ちょっと赧くなった。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
玉堂はそのことを言ったのだが、しかし彼が赧くなったのは、ちかごろ彼は用事もないのに朝日軒の奥座敷へちょくちょく出かけているからであった。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
玉堂が行くと、義枝はおどおどして、お茶をもって来た。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
玉堂はまだ三十二歳、朝日軒の末娘は二十歳で、玉堂の顔を見ると、ぷいと顎をあげて、出て行き、彼はちょっと寂しかった……。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
それを想い玉堂は赧くなったが、すぐもとのにやにやした顔になると、「いったい乗せたのか、乗せなかったのか、どっちなんだね?
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
「それじゃ、やっぱり、そうだったのか」 玉堂は大袈裟にうなずいて、「――実は他あやん、その婆さんというのが、僕のいる館の伴奏三味線を弾いている女でね」「それがどないしてん?
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
夜どおし想いつづけ、翌日小屋に来て誰彼を掴えて、その奇妙な俥ひきの祖父と孫娘のことを語っているのを、玉堂がきいて、あ、それなら知っている僕の路地にいる男だと言うと、彼女は根掘り他吉のことをきき、祖父ひとり孫ひとりのさびしい暮しだとわかると、ぽうっと、赧くなって、わてもひとり身や。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫