言い立て
いいたて
名詞
標準
文例 · 用例
なぜならば或る者は宣伝の効果を主張し、或る者は商品販売の効果を重視し、或る者は教育上の効果を言い立て、各々の価値の批準がてんでにちがってくるから。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
社会問題や政治問題に就いてどれだけ言い立てても、私たちの日々の暮しの憂鬱は解決されるものではないと思っていたのですが、しかし、私はあの日、青森で偶然、労働者のデモを見て、私の今までの考えは全部間違っていた事に気がつきました。
— 太宰治 『トカトントン』 青空文庫
筆者は、やはり人間は、美しくて、皆に夢中で愛されたら、それに越した事は無いとも思っているのでございますが、でも、以上のように神妙に言い立てなければ、或いは初枝女史の御不興を蒙むるやも計り難いので、おっかな、びっくり、心にも無い悠遠な事どものみを申し述べました。
— 太宰治 『ろまん燈籠』 青空文庫
何だか無垢の人を傷めた気持で、どんな事情なのか、それは本当なのか問い訊す余地もないほど、乞食の老人の言った安宅先生退職の話は、かすかながらも身に覚えがあるのが身の内から証拠を言い立てゝ、真実に思えて仕方ありません。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
躾けが筋目を言い立てゝ自分のために泣くということはヱゴイズムで自分に甘える嫌味な涙とした。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
二郎が深き悲しみは貴嬢がしきりに言い立てたもう理由のいかんによらで、貴嬢が心にたたえたまいし愛の泉の涸れし事実の故のみ。
— 国木田独歩 『おとずれ』 青空文庫
母の隠れ家へは常陸守が来て立ちながら話すのであったが、娘に出産のあったおりもおりにだれかの触穢を言い立てて引きこもっていることなどで腹だたしいふうに言っていた。
— 蜻蛉 『源氏物語』 青空文庫
会社の利益や国家の利害を押し立てて官僚的な三角頭が権利保護や機密保持を言い立てるのを心ここにあらずで右から左へ聞き流し、好奇心に任せて垣根の向こうの同類と情報交換をはじめたりする。
— 富田倫生 『青空のリスタート』 青空文庫