いまわの際
いまわのきわ
表現名詞
標準
verge of death
文例 · 用例
いまわの際に少年は、刻下無意識になった恋人に対して、為に生命を致すその報酬を求めたのではない。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
撮写のは嫌だ、と云って写真はくれず、母はね、いまわの際まで、お友さん、姉さま、と云ってお前に逢いたがった。
— ――其一幕―― 『錦染滝白糸』 青空文庫
死のうと思った主人公が、いまわの際に、一本の、かおりの高い外国煙草を吸ってみた、そのほのかなよろこびのために、死ぬること、思いとどまった、そんな小説を書いたことがある。
— 太宰治 『秋風記』 青空文庫
「お腹のうち、本所に居る東京の遠縁のものにたよって出まして、のちに、浅草で、また芸者をしたんですけれど、なくなります時、いまわの際まで、血統が絶える、田沢の家を、田沢の家をと、せめて後を絶さないように遺言をしたんです。
— 泉鏡花 『神鷺之巻』 青空文庫
半纏はお若が心優しく、いまわの際にも勦ってその時かけて行ったのであろう。
— 泉鏡花 『註文帳』 青空文庫
碁を知らない者には分らないが、いまわの際にはそんなことは云ってられやしねえや。
— その七 石の下 『明治開化 安吾捕物』 青空文庫
朝敵征伐の折には、あの右衛門督を大将軍に、この子を副将にというつもりで、副将と名づけたことをひどく喜び、いまわの際まで、副将、副将と、嬉しげにいっていたものだった。
— 第十一巻 『現代語訳 平家物語』 青空文庫
「この私がいまわの際ということも知らず、都では、風の便りの言伝てを、今かいまかと待ちわびているのに違いない。
— 第十巻 『現代語訳 平家物語』 青空文庫
作例 · 標準
祖父はいまわの際に家族に感謝の言葉を述べた。
その経験はいまわの際に思い出される出来事だった。
いまわの際の瞬間、彼の人生が走馬灯のようにめぐった。
その起業家はいまわの際に会社の将来の方向性を伝えた。