生温か
なまあたたか
形容動詞
標準
文例 · 用例
しかしおそらくそんな生温かい享楽のためではなくて、これもまたもっとせっぱつまった生存の権利を主張するために何かを期待して狙っていたに相違ない。
— 寺田寅彦 『蜂が団子をこしらえる話』 青空文庫
ある日曜日の朝顕著な不連続線が東京附近を通過していると見えて、生温かい狂風が軒を揺がし、大粒の雨が断続して物凄い天候であった。
— 寺田寅彦 『マーカス・ショーとレビュー式教育』 青空文庫
そして、肩越しにいきなり私を抱き止めると生温かな吐息を頬に吐きかけながら引き戻さうとした。
— 南部修太郎 『ハルピンの一夜』 青空文庫
妙に生温かい、晴れるかと思うと大きな低い積雲が海の上から飛んで来てばらばらと潮っぽい驟雨を降らせる天候であった。
— 寺田寅彦 『二つの正月』 青空文庫
北から西にかわった潮風は湿気をふくんで生温かかった。
— 島木健作 『鰊漁場』 青空文庫
その日は朝から生温かい西風が吹いて気温がぐっとあがり、絶好の鰊ぐもりだった。
— 島木健作 『鰊漁場』 青空文庫
」生温かい五月の潮風に面を吹かせて浜べの方へぶらぶらとあるきながら、山本は彼方を指さして言った。
— 島木健作 『鰊漁場』 青空文庫
看病夫は二時間おきぐらゐに何千倍かの昇汞水とおもはれる生温かい液體で目のなかを洗つてくれた。
— 島木健作 『盲目』 青空文庫