思い遣る
おもいやる
動詞
標準
文例 · 用例
私はどんなに深くいとしく、故国を思い遣る事だろう、どんなに懐かしく「私達の言葉」に聴き惚れる事だろう。
— 宮本百合子 『無題』 青空文庫
母の書を思い遣る時、自ずから、彼女の胸を満たす、無限に静穏な感謝が、鎮まった夜の空気に幽にも揺曳して、神の眠りに入った額へ、唇へ漂って行きそうな心持がした。
— 宮本百合子 『樹蔭雑記』 青空文庫
そこからはるばる下谷まで出かけて来、また麹町まで行こうとする心持を思い遣ると、おくめは、そぞろに可哀そうになって来た。
— 宮本百合子 『黄昏』 青空文庫
このように草木でさえ思い遣るようにすれば、人間同士は必然的になおさら深く思い遣り厚く同情するのであろう。
— 第二部 混混録 『牧野富太郎自叙伝』 青空文庫
そして彼等に同情し思い遣る心を私は上に述べた草木愛から養われた経験を持っているので、それで私はなおさら強くこれを世に呼び掛けてみたいのである。
— 第二部 混混録 『牧野富太郎自叙伝』 青空文庫
袴野がこれを許すはずはない、でも、万一にも袴野が聞いてくれたらと、それを思い遣るとすては大腿が躍る弾みを感じた。
— またはすて姫 『舌を噛み切った女』 青空文庫
おたがいは人間――かれは実におのれの凡も愚もわきまえて、ひとしく衆の煩いへも、その同情を分け思い遣るのである。
— 吉川英治 『梅里先生行状記』 青空文庫
男の力でうごかせば動かすにも足りる運命の弱い女――不愍な女――可憐なるものを――と、思い遣るのだった。
— 第二分冊 『新書太閤記』 青空文庫