森陰
もりかげ
名詞
標準
文例 · 用例
其處らの森陰の汚ない藁屋の障子の奧からは端唄の三味線をさらつて居る音も聞こえた。
— 寺田寅彦 『寫生紀行』 青空文庫
しかし此の平板な野の森陰の小屋に日當りのいゝ縁側なりヴェランダがあつて其處に一年の中の選ばれた數日を過すのはそんなに惡くはなささうに思はれた。
— 寺田寅彦 『寫生紀行』 青空文庫
熱田の八剣森陰より伏し拝みてセメント会社の煙突に白湾子と焼芋かじりながらこのあたりを徘徊せし当時を思い浮べては宮川行の夜船の寒さ。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
そこらの森陰のきたない藁屋の障子の奥からは端唄の三味線をさらっている音も聞こえた。
— 寺田寅彦 『写生紀行』 青空文庫
しかしこの平板な野の森陰の小屋に日当たりのいい縁側なりヴェランダがあってそこに一年のうちの選ばれた数日を過ごすのはそんなに悪くはなさそうに思われた。
— 寺田寅彦 『写生紀行』 青空文庫
わたしは、ひっそり静まった砂原や、ネスクーチヌィ公園の黒々とした森陰や、鈍く稲妻がひらめくたびにやはり震えるように見える遠い家々の黄いろっぽい正面やを、じっと見つめていた。
— ツルゲーネフ 『はつ恋』 青空文庫
(四) トムさんは今度は森陰の白い王城を眺めました。
— 童話集 『小熊秀雄全集-14』 青空文庫
これは大変と尚更あわてゝ「お嫁さん……待てい」「お嫁さん……待つてくれい」 と死に物狂ひにその後を追ひかけましたが、とうとう画は森陰にある国の王城厳めしい高壁を越えてその中に這入つてしまひました。
— 童話集 『小熊秀雄全集-14』 青空文庫