手油
てあぶら
名詞
標準
文例 · 用例
駒平の手脂のしみたさうした品々が今までとは違つたものに眺められ、それらが生命あるもののやうに眺められるのであつた。
— 島木健作 『續生活の探求』 青空文庫
そこにそやつは毎日腰を下ろして、あぐらをかいて、膝の下にマッチの在庫を少しばかり置けば、いかにも見た目が哀れを誘うので、善意の小雨が降る、されば受け皿として、手脂で汚れた帽子を舗道のわきに置いておけばよい。
— THE MAN WITH THE TWISTED LIP 『唇のねじれた男』 青空文庫
彼は貧乏ゆすりをしながら園から受取った星野の葉書を手脂だらけにして丸めたり延ばしたりしていた。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
他の一人は鉋の台になって、大工の手脂に光って居る。
— 徳冨健次郎 『みみずのたはこと』 青空文庫
それらの木戸ではいちいち当然な訊問をうけるが、そのたび権三は六波羅|割符をしめし、大蔵は、表に「二階堂」裏に「荷駄組」と烙印した手脂でひかッている分厚い鑑札を兵に見せて通って来たのだ。
— 八荒帖 『私本太平記』 青空文庫