帰府
きふ
名詞
標準
文例 · 用例
わたくしは姑く右の秋冬の詩を此年文化四年帰府後の作として視る。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
此期間が余り延びなかつたことは、帰府後の秋の詩があるのを見て知られる。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
将軍家は二月に上洛、六月に帰府、十二月には再び上洛の噂がある。
— 薄雲の碁盤 『半七捕物帳』 青空文庫
帰府の道中も同道しては人目に立つので、お近は一と足おくれて帰って来て、そっと音羽の屋敷に忍び込んだ。
— 白蝶怪 『半七捕物帳』 青空文庫
「関東の事情切迫につき、英艦|防禦のため大樹(家茂のこと)帰府の儀、もっともの訳がらに候えども、京都ならびに近海の守備警衛は大樹において自ら指揮これあるべく候。
— 第一部上 『夜明け前』 青空文庫
かつ、攘夷決戦のおりから、君臣一和にこれなく候ては相叶わざるのところ、大樹関東へ帰府せられ、東西相離れ候ては、君臣の情意相通ぜず、自然隔離の姿に相成るべく、天下の形勢救うべからざるの場合にたちいたり申すべく候。
— 第一部上 『夜明け前』 青空文庫
しめ十四名を血載した帳面を懐中に、巷勇蒲生泰軒がひさしぶりに帰府した夕べ、十七人に減じられた月輪組とつづみの与吉は、まだうしろを振り返りながら、灯のつきそめた都の雑踏にまぎれこんでいた。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
埋蔵金を掘りにまいる所存、帰府のうえ、その財産をそっくり持参金として、おん身のもとへ押しかけるべく候。
— こけ猿の巻 『丹下左膳』 青空文庫