適従
てきじゅう
名詞
標準
文例 · 用例
――笑つちや不可ねえ、狂人といふものは恐らく諸君のやうに結構な適従性を持つて生れなかつたのだ。
— 中原中也 『ヂェラルド・ド・ネルヴァル』 青空文庫
時代とか社会とか謂はれる随分偶然的な機構は、諸君のやうな結構な適従性を持つてゐるのであつてみればなんらの怪々たるものでもないが、それのない人にとつては、時々刻々の妖怪と見えるかも知れない。
— 中原中也 『ヂェラルド・ド・ネルヴァル』 青空文庫
しかし一方では南部氏の分れであるといひ、或ひは藤原基衡の次男|秀栄の後だとも、或ひは安東氏の一族であるかの如くにも伝へ、諸説紛々適従するところを知らぬ。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
保はこれより福沢に識られて、これに適従せんと欲する念がいよいよ切になったのである。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
この時に当たりて良民それいずくにか適従すべき、思うにその岐路に迷う者すこぶる多からん。
— 陸羯南 『近時政論考』 青空文庫
モムゼン(Mommsen)は外蕃の人であるといい、フシュケ(Huschke)はローマ人であると主張し、吾人をして転たその適従に苦しましめる。
— 穂積陳重 『法窓夜話』 青空文庫
我輩門外漢は素よりその孰れに適従すべきかを知ることは出来ぬが、かような事は必ずしも多数説が正しいということは出来ぬは勿論である。
— 穂積陳重 『法窓夜話』 青空文庫
しかしながら、人倫の変に当り、その間に軽重を設けてその一に適従する必要を生じた場合には、一の標準を発見してこれに拠らなければならない。
— 穂積陳重 『法窓夜話』 青空文庫