一音
いちおん
名詞
標準
a sound
文例 · 用例
次に、子音の次に母音がついて成立つ諸音における母音について見るに、奈良朝時代の諸音のうち、その一音が後世の一つの仮名にあたるものにおいては、ア段の仮名に相当する諸音は、現代の仮名の発音と同じくaの母音で終り、イ段ウ段エ段オ段の仮名にあたる諸音も同様にそれぞれiueoの母音で終ったものと考えられる。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
現に、「蚊」のごとき一音の語が、今日の近畿地方の方言におけるごとく「カア」と長音に発音せられたことは奈良朝の文献に証拠がある。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
『古事記』は、奈良朝の撰ではあるが、天武天皇の勅語を稗田阿礼が誦したものを太安万侶が筆録したもので、その言語は幾分古い時代のものであろうから、これに八十八音を区別したのは、奈良朝以前の音韻状態を伝えるもので、後にその中の一音が他と同音に変じて奈良朝では八十七音となったものと考えられる。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
次に、複合する下の語の語頭音が母音一つから成る音(アイウエオ)である時、その音が上の語の語尾音と合して一音となることがある(荒磯―ありそ、尾の上―をのへ、我が家―わぎへ、漕ぎ出で―こぎで)。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
かようにして、「き」「け」「こ」「そ」「と」「の」「ひ」「へ」「み」「め」「よ」「ろ」「ぎ」「げ」「ご」「ぞ」「ど」「び」「べ」の一つ一つに相当する二音が、それぞれ一音を減じて、これらの仮名がそれぞれ一音を代表するようになった。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
伊呂波歌はこの二音が一音に帰した後の音韻を代表するものである。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
かように、別々の音を表わした「紀」の類と「伎」の類とを、同じ「き」の仮名と考えるようになったのは、音変化の結果、二つの音が一音に帰し、「つき」のキも「ゆき」のキも同音になってからのことであります。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
一音程に対する指頭間の距離でもまるで指と指とをくっつけなければならないように感じる。
— 寺田寅彦 『断片(2)』 青空文庫
作例 · 標準
ピアノの練習では、まず一音(いちおん)一音(いちおん)を正確に発音することから始めるのが基本です。
幻辭AI · gemini-2.5-flash-lite
真夜中の静寂の中、時計の針が刻む一音(いちおん)だけが、やけに大きく響いていた。
幻辭AI · gemini-2.5-flash-lite
言語学者は、人間の発話における最小の音単位である一音(いちおん)の構造を分析する。
幻辭AI · gemini-2.5-flash-lite
狩人は、獲物の気配を示す微かな一音(いちおん)すら聞き逃さないよう、全神経を研ぎ澄ませていた。
幻辭AI · gemini-2.5-flash-lite