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戸々

ここ
名詞
1
標準
文例 · 用例
そこに鎖した雨戸々々が透通って、淡く黄を帯びたのは人なき燈のもれるのであろう。
泉鏡花 鷭狩 青空文庫
あの日の出づる邊、我故國では今頃は定めて、都大路の繁華なる處より、深山の奧の杣の伏屋に到るまで、家々戸々に日の丸の國旗を飜して、御國の榮を祝つて居る事であらう。
押川春浪 海島冐檢奇譚 海底軍艦 青空文庫
一棟は幾戸かに分れ、戸々皆な障子をとざし、其障子には火影|花かに映り、三絃の乱れて狂ふ調子放歌の激して叫ぶ声、笑ふ声は雑然として起つて居るのである、牛部屋に等しき此長屋は何ぞ知らん鉱夫どもが深山幽谷の一隅に求め得し歓楽境ならんとは。
國木田独歩 空知川の岸辺 青空文庫
金銀珠玉巧を極め、喬木高樓は家々に築き、花林曲池は戸々に穿つ。
泉鏡太郎 唐模樣 青空文庫
ゆったりとおちついたうちにも、村内戸々のけはいは、おのがじしものせわしきありさまに見える。
伊藤左千夫 告げ人 青空文庫
さてまた団子坂の景況は、例の招牌から釣込む植木屋は家々の招きの旗幟を翩翻と金風に飄し、木戸々々で客を呼ぶ声はかれこれからみ合て乱合て、入我我入でメッチャラコ、唯|逆上ッた木戸番の口だらけにした面が見える而已で、何時見ても変ッた事もなし。
二葉亭四迷 浮雲 青空文庫
戸々に立ち働いている黒い影は地獄の兵卒のごとく、――戸々の店さきに一様に黒く並んでるかな物、荒物、野菜などは鬼の持ち物、喰い物のごとく、――僕はいつの間に墓場、黄泉の台どころを嗅ぎ当てていたのかと不思議に思った。
岩野泡鳴 耽溺 青空文庫
なにしろ戸々で思い思いに掃き立てるのであるから、その都度に近所となりの迷惑は思いやられるが、お互いのことと諦めて別に苦情もなかったらしい。
岡本綺堂 綺堂むかし語り 青空文庫