誑惑
誑惑
名詞
標準
文例 · 用例
それは彼の最も世の中で価値ありとする品とか気位とか悧巧とかを誑惑する魔性のものに外ならなかつた。
— 岡本かの子 『過去世』 青空文庫
愛慾泥裏の誑惑の男と女がそのままに、登る仏果の安養浄土、恐ろしき法力ではあるなあ。
— 岡本かの子 『取返し物語』 青空文庫
第一一四項 酒狐の誑惑 かつて『宮崎新報』に、同県東諸県郡内にて、光村某と西岡某との両人が、金円調達のため瓜生野村に赴き、やがてその用事も済み、焼酎の馳走に酩酊して己の村へ帰る途中、光村が狐に誘われて藪の中に入り、その挙動の怪しかりし顛末を記してあった。
— 井上円了 『おばけの正体』 青空文庫
元箱根村より箱根町の間は、樹木茂りて昼もなお暗きほどなるが、そのころここに悪しき狐が住んでいて、日の暮れた後に通行人を誑惑するという評判があった。
— 井上円了 『おばけの正体』 青空文庫
古来その中に老狐住すと伝え、その傍らを通過せるもの往々|誑惑せられて、家に帰らざることがある。
— 井上円了 『おばけの正体』 青空文庫
よってその頭巾を取り去れば、老僕驚きて不審にたえざるありさまなれば、これにその次第をたずねしに、老狐のために誑惑せられしと信じたりと答えた。
— 井上円了 『おばけの正体』 青空文庫
かかる迷信教が行われ、妄説、詐術をもって愚民を誑惑するため、愚民はますます迷信に迷信を重ぬるに至り、教育、道徳の進路を妨げ、社会に害毒を流すようになるを免れぬ。
— 井上円了 『おばけの正体』 青空文庫
まず物理的方面にては、狐狸その体に、果たしてよく人を誑惑し得る知能ありやいかんを探り、またその挙動に、果たして怪しむべきところありやいかんを知ることが必要である。
— 井上円了 『迷信解』 青空文庫