潜込
せんこみ
名詞
標準
文例 · 用例
すると何うだ、己にお謝罪をすれば未しも可愛気があるけれど、いくら寒いたつて余りな、山田の寝床へ潜込みに行きをつた。
— 泉鏡花 『妖怪年代記』 青空文庫
大分もう薄暗くなっていましたそうで……土用あけからは、目に立って日が詰ります処へ、一度は一度と、散歩のお帰りが遅くなって、蚊遣りでも我慢が出来ず、私が此処へ蚊帳を釣って潜込んでから、帰って見えて、晩飯ももう、なぞと言われるさえ折々の事。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
同じ人間もな……鑄掛屋を一人土間で飲らして、納戸の炬燵に潜込んだ、一ぜん飯の婆々媽々などと言う徒は、お道さんの(今晩は。
— 泉鏡花 『唄立山心中一曲』 青空文庫
中の橋へ出て、牛込へ潜込んだ、が、ああ、後れた。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
……」を機会に、行火の箱火鉢の蒲団の下へ、潜込ましたと早合点の膝小僧が、すぽりと気が抜けて、二ツ、ちょこなんと揃って、灯に照れたからである。
— 泉鏡花 『露肆』 青空文庫
――「常さん、今君が蔀を開けて、何かが覗いたって、僕は潜込む懐中がないんだもの……」 簫の窓から覗いた客は、何も見えなかった、と云いながら、真蒼になっていた。
— 泉鏡花 『霰ふる』 青空文庫
……と思っている植甚の鼻をあかせ、俺アこれ迄にちょいちょい此処へ潜込んで、今日までに千両近い小判を揚げたからにゃア、俺の方が上手だろう――と思っているとお前が現われた。
— 国枝史郎 『甲州鎮撫隊』 青空文庫
沖田総司を殺しそこなった晩、これも行きがけの駄賃に、池の沖へ潜込み、盗み出した幾十枚かの小判が、まだ身に付いているらしく、様子が長閑そうであった。
— 国枝史郎 『甲州鎮撫隊』 青空文庫