御不幸
ごふこう
名詞
標準
文例 · 用例
一つには、当将軍家の比類を絶した天稟の御風格が、さすがの相州さまのお手にもあまるやうになつて来たからではないかと、まあ、下賤の愚かな思案でございますが、なんだかそんな事も、後のさまざまの御不幸の原因になつてゐるやうな気が私には致しますのでございます。
— 太宰治 『右大臣実朝』 青空文庫
棚経を読んでしまってから、彼は近ごろ御親類中に御不幸でもござったかと訊いた。
— 津の国屋 『半七捕物帳』 青空文庫
「このたびはえらい御不幸な……」 と挨拶した婆さんに抱いていた子供を預けると、お君は一張羅の小浜縮緬の羽織も脱がず、ぱたぱたとそこらじゅうはたきをかけはじめた。
— 織田作之助 『雨』 青空文庫
このたびはえらい御不幸なと挨拶をした婆さんに抱いていた豹一を預けると、お君は一張羅の小浜縮緬の羽織も脱がずバタ/\とはたきをかけ始めた。
— 織田作之助 『雨』 青空文庫
「此のたびはえらい御不幸な……」と挨拶した婆さんに抱いていた子供を預けると、お君は一張羅の小浜縮緬の羽織も脱がず、ぱたぱたとそこら中はたきはじめた。
— 織田作之助 『青春の逆説』 青空文庫
そしてどんな御不幸なことになるかわかりません。
— 若菜(上) 『源氏物語』 青空文庫
何という運命でこうした御不幸な目にばかりおあいになるのだろう」 などと言っているうちに御息所の容体は最悪なものになっていった。
— 夕霧一 『源氏物語』 青空文庫
以前の御不幸のございました時にも、もうそんなふうにおなりになるのでないかと私どもがお案じいたしましたようなことがおりおりございましたが、宮様がお悲しみになってめいっておいであそばすのをおなだめになりたいとお思いになるお心の強さから、御健康をお持ち直しになったのでございます。
— 夕霧二 『源氏物語』 青空文庫