己がじし
おのがじし
副詞
標準
each (and every one)
文例 · 用例
私達は己がじしの和やかな家庭生活において、その静境をもとめようとするのに、うるさい雑音の小魔達は、このひつそりした避難所にまでも闖入して来て、そして意地悪くも回復の邪魔だてをしようとするのだ。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
この日奉公人は主家より一日の暇を与えられて、己がじし思う方に遊び暮らすのである。
— 柴田流星 『残されたる江戸』 青空文庫
こうなると各郡民は己がじしコソコソ引取って、竹槍などもどこかへ隠して、何知らぬ顔で家に居る。
— 内藤鳴雪 『鳴雪自叙伝』 青空文庫
おのが心も魂も、忘れはて棄て去りて悪酔の、狂ひ心地に美を索むわが世のさまのかなしさや、おのが心におのがじし湧きくるおもひもたずして、人に勝らん心のみいそがはしき熱を病む風景ばかりかなしきはなし。
— 中原中也 『山羊の歌』 青空文庫
ことさらに瓦斯の灯の青ざめ渡る夏の夜になると、それらの水々しい処女と童貞たちの臍の中を、一つ一つ灰色の垢に埋めて、さもなくとも明け易い夜もすがらを、おのがじしに咽び歎かせるのだ。
— 夢野久作 『塵』 青空文庫
入江の端より端へと、おのがじし、見るが間に分れ散れり。
— 国木田独歩 『たき火』 青空文庫
辻老いたるも、或は、若きも、幾十人、男女や、東より、はたや、西より、坂の上、坂の下より、おのがじし、いと急しげに此処過ぐる。
— 石川啄木 『詩』 青空文庫
並行けど、はた、相|逢へど、人は皆、そしらぬ身振、おのがじし、おのが道をぞ急ぐなれ、おのもおのもに。
— 石川啄木 『詩』 青空文庫
作例 · 標準
例句