皸
ひび
名詞
標準
文例 · 用例
矢切の百姓なんぞは『アックリ』と申しましてね、皸の薬に致します。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
民子は笑いながら、「政夫さんは皸の薬に『アックリ』とやらを採ってきて学校へお持ちになるの。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
学校で皸がきれたらおかしいでしょうね……」 僕は真面目に、「なアにこれはお増にやるのさ。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
お増はもうとうに皸を切らしているでしょう。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
マニラへ行く前から黒かったという他吉の孫娘と思えぬほど色も白く、あれで手に霜焼、皸さえ無ければ申し分ないのだがといわれ、なお愛嬌もよく、下足番をして貰うよりは、番台に坐ってほしいと、日の丸湯の亭主が言いだしたので、他吉はなにか狼狽して、折角だがと君枝に暇をとらせた。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
暗いあかりで足袋の継ぎはぎをして、皸あかぎれの手を、けちで炭もよくおこさないから……息で暖める隙もなしに、鬼婆の肩腰を、擦るわ、揉むわ、で、そのあげくが床の上下し、坊主枕の蔽いまで取りかえて、旦那様、御寝なれだ。
— 泉鏡花 『卵塔場の天女』 青空文庫
それを編む手の甲は紫がかつて脹れ、その指先きはところどころ皸破れて赤く口を開いてゐた。
— 島木健作 『續生活の探求』 青空文庫
じゆんは火箸の先をあたため、それで黒い皸ぐすりを熔して破れ目になすり込んだ。
— 島木健作 『續生活の探求』 青空文庫