頽齢
たいれい
名詞
標準
declining years
文例 · 用例
五十三で死んで、私は子供心には、そのとしがたいへんな老齢のやうに感ぜられ、まづ大往生と思つてゐたのだが、いまは五十三の死歿を頽齢の大往生どころか、ひどい若死にと考へるやうになつた。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
むかし大久保が躑躅の名所であった時分に中どころの植木屋であった葛岡の家も、大久保が町中となり、父がリウマチスを重らして床に就き、間も無く死んでしまってから、頽齢の祖母と、老齢に近い母を背負って葛岡は園芸学校へ通学しなければならなかった。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
翁が頽齢に及んで起居自由ならず所謂ヨボヨボ状態に陥って居られても、一度舞台に立たれると、豪壮鬼神の如く、軽快鳥の如しとでも形容しようか。
— 夢野久作 『梅津只圓翁伝』 青空文庫
尤も唯物主義的に解釈すれば、彼の頽齢や病なども或は彼の人生観を暗いものにしてゐたかも知れない。
— 芥川龍之介 『続文芸的な、余りに文芸的な』 青空文庫
役者容姿論容姿うるはしく、輪廓の整ふのは、歌舞妓役者には、通例既に深く頽齢に踏み入つた五十歳頃からのことである。
— ――中村魁車を誄す―― 『街衢の戦死者』 青空文庫
さうした役者が、もう頽齢になつてゐると、一度でもよく心に印象して置きたいといふ気になる。
— 折口信夫 『芝居見の芝居知らず』 青空文庫
足腰が立たなくなり手も眼も衰え来ってために仕事が出来なくなれば、その時こそはじめて「老」が音ずれて真の頽齢境に入るのである。
— 第二部 混混録 『牧野富太郎自叙伝』 青空文庫
実兄は窃に旅費を贈ってもいいといったほど好意を持っていたが、世間を憚って見送りに行かず、世田ヶ谷の老人もまた頽齢をいいわけにして出て来なかった。
— 永井荷風 『つゆのあとさき』 青空文庫
作例 · 標準
頽齢を迎え、ようやく静かな田舎で余生を過ごす決心がついた。
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「私も頽齢だ。無理は禁物だな」と、祖父は苦笑いしながら椅子に座った。
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頽齢になっても知的好奇心は失わず、新しいことへの挑戦を続けている。
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