哀慕
あいぼ
名詞
標準
cherish the memory of
文例 · 用例
哀慕の情いよいよ切なり。
— ――甲字楼日記の一節―― 『叔父と甥と』 青空文庫
わが歌はかの銀笛哀慕調のいにしへより哀傷篇四章の近什にいたるまで、凡ては果敢なき折ふしのありのすさびなれども、今に及びては旧歓なかなかに忘れがたし、ただ輯めて懐かしく、顧みて哀愁さらに深し。
— 北原白秋 『桐の花』 青空文庫
其は、母が哀慕していた謙吉さんという人が、アメリカ土産にお孝さんにあげたものだったそうだ。
— 宮本百合子 『白藤』 青空文庫
官立派の学生気分の抜けなかった九太の眼は、何時も立ち遅れて淋しそうでいる伊代へ、何とない哀慕の心を持ち始めたのであった。
— 林芙美子 『帯広まで』 青空文庫
わが哀慕雨と降る日に※死ぬ蝉死ぬとしも暦を作れ 君を思ふ哀慕の涙がことに雨の様に降る日がある。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
とりわけ唄の文句が男を慕うところになると、哀慕の情を顔中にみなぎらせ、全身全霊が今にも泣きだしそうだった。
— 正岡容 『寄席』 青空文庫
さるにても私は、間もなく浅草と別れ、花川戸の家と別れ、慕はしい年寄たちには死別、山の手の偽善づくめの官員屋敷許り立並んでゐる邸町の生活の中へ引取られていつたのであるが、境遇の激変は一そう私をして浅草を、花川戸界隈を、年寄たちへの哀慕の念と共に恋々と追想させないわけには行かなかつた。
— 正岡容 『異版 浅草燈籠』 青空文庫
扮装は男でも、名は若侍でも、弥生はやはり弥生、成らぬ哀慕に人知れず泣くあけぼの小町のなみだは今もむかしもかわりなく至純であった。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
作例 · 標準
例句