しつけ糸
しつけいと
名詞
標準
tacking
文例 · 用例
「あらまあどうでもようござんすよ」 おいよさんは構はずに衣物を私に引つ挂けさせて、後で膝をついて裾を合せて引張つて見たり、前へ立つて袖を横に引つ張つて見たりして白いしつけ糸をとつて口に入れては歯で噛みながら「もう何処へ行つてもようござんすよ」 おいよさんは衣物をとりながら私を見て嫣然とした。
— 長塚節 『隣室の客』 青空文庫
羽織のひもをおもちゃにする事、 ひじかけ椅子によった時にはきっと両うでをそれにかけて胸のあたりで指をくむ、 お飯茶碗でお茶をのむ事のきらいな しつけ糸のやたらに気になる 笑う時に多くまばたきをする事 どの部屋にでも入るときっと上を見る 指の先をひっぱる事等がそんなに目立たないながらもくせであった。
— 宮本百合子 『千世子』 青空文庫
さあさあ早う』と、しつけ糸、とくとく着せて見ましたい。
— 清水紫琴 『したゆく水』 青空文庫
長い袂の外側の辺には黄色い絹の紐が、しつけ糸のように通っていて、袂の一隅で黄色い房をなして終っている。
— 日本その日その日 『日本その日その日』 青空文庫
その上、酔った戻りに、溝へ落ちたと云えば、洗い物を持っていらっしゃいと云ってくれるし、寒くなれば、知らない間に、冬着を縫っておいて、『お国元から参りましょうが、お間に合せに、お召しくださいませ』 と、お千賀が、しつけ糸まで抜いて、身背丈を見ながら、着せてくれたりする。
— 吉川英治 『※かみ浪人』 青空文庫
それは武蔵が、(試合の当日は、何も支度は要り申さぬが新しき晒布の肌着と下帯だけは整えておきたく思います) と、何かの折にいったので、肌着のみならず黒絹の小袖も帯紐も新しく縫って今朝までに、しつけ糸を抜けばよいように、すべて揃えてあるのだった。
— 円明の巻 『宮本武蔵』 青空文庫
作例 · 標準
「新しいスーツのポケットにまだしつけ糸がついたままだよ、と友人に指摘された。」
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「裁縫箱の中から赤色のしつけ糸を取り出し、仮縫いを始めた。」
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「しつけ糸は最後に抜いてしまうものなので、目立つ色を使うのが一般的だ。」
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