あいた
あいた
感動詞
標準
文例 · 用例
義弟は短氣らしくタキシーの運轉手の溜りに行つて、直ぐ一臺出せといつて見たが、生憎く一臺もあいたのはなかつた。
— 有島武郎 『小さき影』 青空文庫
だが、今の社会で口のあいた靴をはいて、油だらけの菜っ葉服を着て、足の踵のように堅い手の皮を持った、金をそのくせ持っていない、「海坊主」を、だれが一体相手になってくれるんだ!
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
上の漏斗からの出方が速くて量の多い時は、数十人の人夫のショベルの力は間に合わないで、船のハッチ口は石炭でふさがってしまい、人足たちは船艙の四すみのあいたところへ密閉されてしまった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
そして、それらも七時を過ぎると、ようやく穴があいた。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
川の向う岸に石を投げようとして、大きくモオションすると、すぐ隣に立っている佳人に肘が当って、佳人は、あいたた、と悲鳴を挙げる。
— 太宰治 『作家の像』 青空文庫
薪も割ってもらわなくちゃこまるし、糠味噌もよく掻きまわして、井戸は遠いからいい気味だ、毎朝|手桶に五はいくんで来て台所の水甕に、あいたたた、馬鹿な亭主を持ったばかりに、あたしは十年寿命をちぢめた。
— 太宰治 『新釈諸国噺』 青空文庫
ツネちゃんは、あいたたと言って膝頭から手を放し、僕のほうに顔をねじ向け、「どうするの?
— 太宰治 『雀』 青空文庫
ああ、よかった、眼があいたかと部屋に飛び込んでみると、子供は薄暗い部屋のまんなかにしょんぼり立っていて、うつむいて歌を歌っている。
— 太宰治 『薄明』 青空文庫