晴々しい
はればれしい
形容詞
標準
文例 · 用例
可なり思ふ様に詩の出来た私は、近頃になく晴々しい気持になつて、もう書斎にヂツとしてゐられなかつた。
— 中原中也 『その頃の生活』 青空文庫
と見て胆を冷したのは主税で、小芳は何の気も着かないから、晴々しい面色で、覗込んで、「心当りでも出来たんですか。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
怖さは小宮山も同じ事、お雪の背中へ額を着けて、夜の明くるのをただ、一刻千秋の思で待構えまする内に疲れたせいか、我にもあらずそろそろと睡みましたと見えて、目が覚めると、月の夜は変り、山の端に晴々しい旭、草木の露は金色を鏤めておりました。
— 泉鏡花 『湯女の魂』 青空文庫
かの女は都会人らしい昂奮を覚えて、乗りものを騎馬かなぞのように鞭って早く賑やかな街へ進めたい肉体的の衝動に駆られたが、またも、むす子と離れている自分を想い出すと、急に萎れ返り、晴々しい気持の昂揚なぞ、とても長くは続かなかった。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
あの年寄りじみた、きつい苦みがないし、晴々しい匂ひがするし、茶といふよりも、若葉の雫を啜るといふ感じである。
— 岡本かの子 『新茶』 青空文庫
「あの晴々しい若者を、娘の遊び友だちにつけて置いたら、娘もおつつけ病気がよくなるでせう。
— 岡本かの子 『川』 青空文庫
その時分彼女はまだすっかり宿を引き払っていなかったので、秋本に逢ったのは、今日が初めかどうかは解らなかったし、玄関口で二人で何か話していたことも知っていたが、晴々しい顔をして傍へ返って来た葉子を見ると、多少の陰影があるにしても、それは単に歌のことで指導を受けている間柄のようにしか見えなかった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
髪に綺麗なウエイブがかかっていて、顔も寝る前に化粧したらしく、少し濃いめの白粉に冷たく塗られて、どんな夢を見ようとするのか、少しの翳しも止めない晴々しい麗しさであった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫