常経
じょうけい
名詞
標準
文例 · 用例
その不活溌な状態は平常経験するそれ以上にどこか変なところのある状態だった。
— 梶井基次郎 『泥濘』 青空文庫
大阪弁は、独自的に一人で喋っているのを聴いていると案外つまらないが、二人乃至三人の会話のやりとりになると、感覚的に心理的に飛躍して行く面白さが急に発揮されるのは、私たちが日常経験している通りである。
— 織田作之助 『大阪の可能性』 青空文庫
これはわれわれ連句するものの日常経験するところである。
— 寺田寅彦 『連句雑俎』 青空文庫
けれども、あの病特有の輪状感覚(胸部に輪形のものが繞っているように覚えるという一徴候)を考えると、そういう装飾めいた陳述をした原因が、あるいは、日常経験している感覚から発しているのではないかと疑われてくるだろう。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
彼女は、草原の熱風に吹きさらされる骨を思い、座間の怪奇を絶した異常経験には、一滴も、流さなかった涙をすうと滴らした。
— 有尾人 『人外魔境』 青空文庫
好き意味での豊かなねばりに富んで、変な悪達者もなく日常経験の様々な事象を美しく書きこなす才能は充分に持ち合せて着々と大成してゆく作家ではあらう。
— 牧野信一 『浪曼的月評』 青空文庫
若い母となった野枝が、日常経済的な困難や絶間ない妻、母としての雑用に追われながら、その間却って女、妻、母としての生活上の自覚をつよめられて行って、「社会的運動の中に自分がとび込んでも別に矛盾も苦痛もなさそうに思われました」という心持に立ったことは、今日の私たちの関心をひかずにいない点であると思う。
— 宮本百合子 『婦人と文学』 青空文庫
主人公を徒らに待ちわびている餉台や臥床は、人生の日常経路の中断面の相貌なのだ。
— 豊島与志雄 『待つ者』 青空文庫