底無し
そこなし
名詞
標準
文例 · 用例
」 ※睡気が忽ち香油の瓶を離れて瓦斯の光に溶けて了ひ室が変に底無しの淵のやうになった。
— 宮沢賢治 『床屋』 青空文庫
なるほど韓駒の詩の、「言う莫かれ衲子の籃に底無しと、江南の骨董を盛り取って帰る」などという句を引いて講釈されると、そうかとも思われる。
— 幸田露伴 『骨董』 青空文庫
其の到着点の死という底無しの谷が近くなったことは定基にも想いやられるようになったし、力寿にもそれが想い知られているようになったことが、此方の眼に判然と見ゆるようになった。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
なるほど韓駒の詩の、「言ふ莫かれ衲子の籃に底無しと、江南の骨董を盛り取つて帰る」などといふ句を引いて講釈されると、然様かとも思はれる。
— 幸田露伴 『骨董』 青空文庫
言葉の秘める底無しの魔力を怖れ、自らもその力を巧みにあやつる北村礼明さんは、たまたまコンピューターの世界に足を止めている作家です。
— 富田倫生 『本の未来』 青空文庫
そのまま、じいいい……と、底無しに喰い入り、圧しつけ、放して、すうっと空へまた十二、三吋あがると、流るる胴体は二つになって、截目も見せずに滑ってゆく、その腹部をまた、 じゅう……である。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
それは先刻記憶から喚起した・あの底無しの不安とは全然違う。
— 中島敦 『狼疾記』 青空文庫
自ら死ぬ風の心を、若い人は又、春の眞晝に一人居て、五尺の軒から底無しの花曇りの空を仰いだ時、目に湧いて來る寂しみの雲に讀む。
— 石川啄木 『菊池君』 青空文庫