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翠帳

すいちょう
名詞
1
標準
文例 · 用例
渠等は社の抜裏の、くらがり坂とて、穴のような中を抜けてふとここへ顕れたが、坂下に大川一つ、橋を向うへ越すと、山を屏風に繞らした、翠帳紅閨の衢がある。
泉鏡花 茸の舞姫 青空文庫
「あれが仮に翠帳における言語にして見ろ。
泉鏡花 薄紅梅 青空文庫
」 と言う、香の煙に巻かれたように、跪いて細目に開けると、翠帳紅閨に、枕が三つ。
泉鏡花 日本橋 青空文庫
あの星のまたたくのを見てゐると天上界では人々翠帳にこもつて甘語しきりなるを思はせるのに、その同じ時下界の私は一人で悶々としてゐるといふ様な意味に解せられるが、「星の今を」など随分無理な言ひ廻しであり、終りの「よ」なども困りものである。
平野萬里 晶子鑑賞 青空文庫
そこでこの奇妙な新婦新郎は、誰も知らない秘密に更に快い興奮を加えつつ、翠帳紅閨に枕を並べて比翼連理の語らいに夜の短かさを嘆ずることとはなった。
海野十三 ヒルミ夫人の冷蔵鞄 青空文庫
而してあゝ、翠帳暖に春宵を度るの処、膏雨桃李花落つるの時、松殿の寵姫と共に、酔うて春に和せる往年の栄華、今はた、何処にかある。
芥川龍之介 木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌) 青空文庫
居間との境を仕切る重い翠帳を背景にして、眼醒めんばかりあざやかな全裸の姿態が今私の前に佇んでいるのであった。
橘外男 陰獣トリステサ 青空文庫
翠帳紅閨の美殿に臥した身はいま、潮風にはためく葦すだれの小屋の中で、土の上に寝て波の音を聞く生活である。
第八巻 現代語訳 平家物語 青空文庫