数物
かずもの
名詞
標準
文例 · 用例
十時半頃に学校へ行ったら「数物」の校正が来ていたからすぐに訂正して木下君の部屋へ持って行った。
— 寺田寅彦 『病中記』 青空文庫
末摘花女王の手紙は香の薫りのする檀紙の、少し年数物になって厚く膨れたのへ、どういたしましょう、いただき物はかえって私の心を暗くいたします。
— 玉鬘 『源氏物語』 青空文庫
その外坐舗一杯に敷詰めた毛団、衣紋竹に釣るした袷衣、柱の釘に懸けた手拭、いずれを見ても皆年数物、その証拠には手擦れていて古色|蒼然たり。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
大学紀要並びに数物会記事に数学の論文が至って少ないのは著しい。
— 三上義夫 『文化史上より見たる日本の数学』 青空文庫
さらに彼はその髪に古風な高い髢を入れて、その先きをうしろに垂らした上に、こてこてと髪粉をつけ、ブラシはよく掛けてあるがもうよほどの年数物らしい褐色の上衣をきて、灰色の長い靴下に、バックルのついた爪さきの平たい靴をはいている。
— 廃宅 『世界怪談名作集』 青空文庫
僕が楚人冠であったら、土工の許す限り先ず庭中に幾つもの池を穿ち、水を浅く面を広々として、安物の数物の大和金魚をその中にうんと放し、少なくとも下総一国のカワセミが評判を聞いて集まり来り、赤い金魚をくわえて右往左往すること、あたかも友禅の染紋様の如くなることを飽かず眺め興じたであろう。
— 野鳥雑記 『野草雑記・野鳥雑記』 青空文庫
大坂はどこの刀屋を覗いても、雑兵の持つ数物ばかり荒砥にかけておる、イヤ邪魔をいたした) と、涼しい顔して、さっさと立ち去ってしまったというのである。
— 火の巻 『宮本武蔵』 青空文庫