男靴
おとこぐつ
名詞
標準
文例 · 用例
靴に対する衛生思想が、一般に発達して来た今日では、オーヴァー・シューや、特殊な運動靴などを除く限り、殆んどどの男靴にも踵へ鋲穴のあるゴムが打ってあるんだよ。
— 大阪圭吉 『花束の虫』 青空文庫
ドアの内がひっそりとしているだけに、華奢な女靴と男靴とのごちゃまぜは何ともいえない諧謔があって、悪意なくこみ上げて来る笑いをおさえることが出来ない。
— 宮本百合子 『十四日祭の夜』 青空文庫
沓ぬぎの上に、母の草履と並んで男靴が揃えられてある。
— 宮本百合子 『雑沓』 青空文庫
一つのドアの前で片ちんばに組み合わされた男の靴、女の靴が、いかにも踊っている形で向いあわされているかと思うと、そのさきのドアでは、靴のぬげたのをかまわず逃げる女を、男が追っかけてつかまえたとでもいうような形に男靴女靴がいりみだれている。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
ええ、とばかりふらつく両手につかみあげた男靴女靴をあたりかまわず赤い絨毯の上へばらまいたらしく、女のよそゆきのエナメル靴、男靴が、そのやけっぱちな無茶苦茶ぶりに何とも云えないおかしみをたたえながら、あっちこっちにぶちまかれているのだった。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
見ると、伸子の室に隣りあわせたドアの前にも、ゆうべまで見かけたことのない女靴が一足、平凡な男靴とならべて出してあった。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
吾吉のたのみを受けたので、ソノ子を訪ねると、弟妹は学校へ行ったあと、男靴が一足あって、誰か押入れへ隠れた様子である。
— 坂口安吾 『行雲流水』 青空文庫