然のみ
さのみ
副詞
標準
(not) much
文例 · 用例
女神の顔は氷花のように燦めき、自然のみが持つ救いのない非情と、奥底知れない泰らかさとが、女神の身体から狭霧のようにくゆり出す。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
幅は然のみ濶からぬ川ながら、船の往来のいと多くして、前船後船|舳艫相|啣み船舷相摩するばかりなるは、川筋繁華の地に当りて加之遠く牛込の揚場まで船を通ずべきを以てなり。
— 幸田露伴 『水の東京』 青空文庫
自分で自分を向上させることの出来るものですから、無理に隆鼻術の施行や美容法研究をせずとも、「此に欠くるところも彼に増すこともあれば又以て自ら善くするに足る」道理で、然のみ苦にするには当りません。
— 幸田露伴 『運命は切り開くもの』 青空文庫
偶然のみ支配する宇宙ではエントロピーは無際限に増大して死滅への道をたどる。
— 寺田寅彦 『ルクレチウスと科学』 青空文庫
この手には天地の必然のみあって、人間の学問の勝負はありません。
— 岡本かの子 『阿難と呪術師の娘』 青空文庫
翰林学士の劉三吾、御歎はさることながら、既に皇孫のましませば何事か候うべき、儲君と仰せ出されんには、四海心を繋け奉らんに、然のみは御過憂あるべからず、と白したりければ、実にもと点頭かせられて、其歳の九月、立てゝ皇太孫と定められたるが、即ち後に建文の帝と申す。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
佐沼は豊間よりは西北、古河よりは東に当るが、豊間と古河との距離は直接にすれば然のみ距って居らぬとは云え、然程に近い訳でも無いのに、是の如く手際|能く木村父子が樹に離れた猿か水を失った鮒のように本拠を奪われたところを見ると、一揆の方には十分の準備が有り統一が保てて居て、思う壺へ陥れたものと見える。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
新に監獄を出たるものが一醉飽を欲するは人の免れぬ情であらうが、名門鉅族の人は、美酒佳肴前に陳なるも、然のみ何とも思はざるが如くである。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
作例 · 標準
思ったよりも難しい試験だったが、然のみ落胆することなく次に向けて準備を始めた。
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彼女は失敗しても然のみ気にしないタイプなので、すぐに立ち直るだろう。
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今回のプロジェクトは然のみ進展が見られず、少し焦りを感じている。
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標準
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作例 · 標準
世の常は然のみ移ろいゆくものと、老僧は静かに語った。
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あの山は然のみ高くそびえ、その威容は見る者を圧倒する。
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彼女の心は然のみ揺れ動いていた。
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