篝火
かがりび
名詞
標準
文例 · 用例
見る見るその雲の大隆起の下には、火の川が一筋流れ、余光が天上の雲に反照して、篝火が燃えたようになった。
— 小島烏水 『谷より峰へ峰より谷へ』 青空文庫
」 美しい女は、言の下に羽織を脱いだ、手のしないは、白魚が柳を潜って、裏は篝火がちらめいた、雁がねむすびの紋と見た。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
何と絵蝋燭を燃したのを、簪で、その髷の真中へすくりと立てて、烏羽玉の黒髪に、ひらひらと篝火のひらめくなりで、右にもなれば左にもなる、寝返りもするのでございます。
— 泉鏡花 『菎蒻本』 青空文庫
はや篝火の夜にこそ。
— 泉鏡花 『茸の舞姫』 青空文庫
社殿の雪洞も早や影の届かぬ、暗夜の中に顕れたのが、やや屈みなりに腰を捻って、その百日紅の梢を覗いた、霧に朦朧と火が映って、ほんのりと薄紅の射したのは、そこに焚落した篝火の残余である。
— 泉鏡花 『茸の舞姫』 青空文庫
その年十月十九日、宝の市の最後の夜は、稚児、市女、順々に、後圧えの消防夫が、篝火赤き女紅場の庭を離れる時から、屋台の囃子、姫たちなど、傍目も触らぬ婦たちは、さもないが、真先に神輿を荷うた白丁はじめ、立傘、市女笠持ちの人足など、頻りに気にしては空を視めた。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
山の祖神はさすがに、それとすぐ感じ取り、啓示を聴く敬虔な態度で、両の掌を組み合せ、篝火越しに聴こうとする。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
見果てぬ夢をあまり短くして断ったそれを惜しませるような、冷たく揶揄するような沖の篝火でありました。
— 岡本かの子 『扉の彼方へ』 青空文庫
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「篝火」(かがりび)は、『源氏物語』五十四帖の巻名のひとつ。第27帖。玉鬘十帖の第6帖。巻名は光源氏と玉鬘が交わした贈答歌「篝火にたちそふ恋の煙こそ世には絶えせぬほのほなりけれ」および「行く方なき空に消ちてよ篝火のたよりにたぐふ煙とならば」に因む。
出典: 篝火 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0