滅切
めっさい
名詞
標準
文例 · 用例
ところが、私が如何にか斯うにか取続いて帰らなかったので、両親は独息子を玉なしにしたように歎いて、父の白髪も其時分僅の間に滅切り殖えたと云う。
— 二葉亭四迷 『平凡』 青空文庫
自體人間の生存税は滅切高價になツて來た、殊に吾々藝術家は激戰の最中で平和演説を行ツてゐるやうなもんだから、存立が危い!
— 三島霜川 『平民の娘』 青空文庫
お品は蒲團の中でも滅切暖かく成つたことを感じた。
— 長塚節 『土』 青空文庫
手傳に來て居た女房等はそれでなくても膳立をする客が少くて暇であつたから滅切手持がなくなつた。
— 長塚節 『土』 青空文庫
雨戸を閉づる時蛙の聲は滅切遠く隔つてそれがぐつたりと疲れた耳を擽つて百姓の凡てを安らかな眠りに誘ふのである。
— 長塚節 『土』 青空文庫
殊に秋の頃に成つてからは滅切機轉も利くやうになつて、死んだお品に似て來たと他人にはいはれるのであるが、毎日一つに居る自分にもさういへば身體の恰好までどうやらさう見えて來たと勘次も心で思つた。
— 長塚節 『土』 青空文庫
春の野を飾つて黄色な布を掩うたやうな菜の花も、春らしい雨がちら/\と降つて霜に燒けたやうな葉が滅切と青みを加へて來た頃は其開いた葉の心部には只僅な突起を見出す。
— 長塚節 『土』 青空文庫
次の日には空は些の微粒物も止めないといつたやうに凄い程晴れて、山も滅切り近く成つて居た。
— 長塚節 『土』 青空文庫