癆
癆
名詞
標準
文例 · 用例
左肺が肺癆に罹つて大部分腐蝕してゐるのは誰れも認めてゐたが、一週間程前から右肺の中葉以上に突然起つた聽診的變調と、發熱と、腹膜肋膜の炎症とを綜合して考へて見ると粟粒結核の勃發に相違ないと堅く信じたのだ。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
肺癆に罹つてゐた左胸は右胸に比べると格段に小さくなつてひしやげてゐた。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
見る見る中に胸部から腹部にかけての諸機關は個々に取除けられて、左胸部に肺癆の爲めに潰滅した肺の殘塊が咯啖樣の粘液に取りまかれて殘つてゐるのと、直腸部に填充した脱脂綿が所々血に汚れて、うねくつて露出してゐる外には何も殘らなかつた。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
大蒜は肺の薬になるげじゃけれども、私はこう見えても癆咳とは思わん、風邪のこじれじゃに因って、熱さえ除れれば、とやっぱり芭蕉じゃ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
これは、長崎の廓で、京から稚い時かどわかされた娘に、癆※の死際に逢って、応挙があわれな面影を、ただそのままに写生したと言う伝説の添った絵なのである。
— 泉鏡花 『露萩』 青空文庫
ところが支倉君、眼を覆われて斃される――それが脊髄癆なんだよ。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
つまり、ある一点に向って、以上四つの既知数が綜合されていったのだが……それは、ほかでもない夫人固有の病理現象――すなわち脊髄癆なんだよ。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
それは、クリヴォフ夫人のような、初期の脊髄癆患者によく見る徴候で、後踵部に現われる痛点を指して云うのだよ。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫