榔
榔
名詞
標準
文例 · 用例
十五日、癸丑、晴、鶴岳放生会、将軍家御参宮、供奉人の行粧、花美例に越ゆ、檳榔の御車を用ゐらる。
— 太宰治 『右大臣実朝』 青空文庫
近頃|檳榔子の炭を使って極寒まで冷した空気を吸わせ真空を作る事も発明された。
— 寺田寅彦 『歳時記新註』 青空文庫
上海プノンペン間を商用にて往来する父にカンボジヤ国より檳榔子の実を土産に買ってきてもらう。
— 吉行エイスケ 『新種族ノラ』 青空文庫
箱車を押す半裸体の馬来人は檳榔子の実を噛んでいて、血の色の唾をちゅっちゅと枕木に吐いた。
— 岡本かの子 『河明り』 青空文庫
椰子、檳榔子の生え茂つた山に添つて、城のやうに築上げた、煉瓦造がづらりと並んで、矢間を切つた黒い窓から、弩の口がづん、と出て、幾つも幾つも仰向けに、星を呑まうとして居るのよ…… 和蘭人の館なんです。
— 泉鏡太郎 『印度更紗』 青空文庫
こゝのは僥倖に、檳榔の葉の樣な團扇を皺手に、出刃庖丁を持つてをらず、腹ごもりの嬰兒を胞衣のまゝ掴んでもゐない。
— 泉鏡太郎 『深川淺景』 青空文庫
親王興に入りたまいて、さらば足下のは、と問わせたまうに、旧上達部の檳榔毛の車に駕りたるが、時に其声を聞くにも似たらん、と申した。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
庇の御車に宮は召され、庇のない糸毛車が三つ、黄金作りの檳榔毛車が六つ、ただの檳榔毛車が二十、網代車が二つお供をした。
— 宿り木 『源氏物語』 青空文庫