気掛かり
きがかり
形容動詞
標準
文例 · 用例
けれども、私は、そんなことに閉口してはいられない場合ですから、ただ、もう百観音の運命が気掛かりでたまらないのですから、こう主人に話し掛けました。
— 蠑螺堂百観音の成り行き 『幕末維新懐古談』 青空文庫
すると、加納夏雄先生が、「今日の御呼び出しは何んでしょうなア」と私たちに聞いていられましたが、誰も何んの御用かということを答えるものもありませんので、一同妙に気掛かりなような心持で腰掛けていたようなわけで、その席に臨んでいても、まだ何んのことか見当が附かなかったようなわけであった。
— 帝室技芸員の事 『幕末維新懐古談』 青空文庫
家族の者達が身近かにいて、縦令何等の世話を焼いてくれないでも、どの位|捗取ったろうなどゝ考えていてくれるなと思うと、もう私はそれが気懸りで思うように筆を運ばす事が出来なくなるのです。
— "Not till the sun excludes you, do I exclude you; 『●「或る女」巻頭のホイットマンの詩』 青空文庫
急にその病室から高い笑ひ声が聞えて来ると、私は母と話したことが全部その病室まで聞えたために笑つたのかと気懸りになつた。
— 中原中也 『その頃の生活』 青空文庫
」さう嘲るやうに先刻の言葉を言つてみたが、何だか気懸りな言葉だつた。
— 中原中也 『その頃の生活』 青空文庫
あんたがこの前行つた時でも毛布団だつたとかつて言つてたあね」 母は随分気懸りらしかつた。
— 中原中也 『分らないもの』 青空文庫
しかし弁天社務所の倒潰を見たとき初めてこれはいけないと思った、そうして始めて我家の事が少し気懸りになって来た。
— 寺田寅彦 『震災日記より』 青空文庫
尾鰭はのらのらと跳ねるなれども、ここに、ふと、世にも気懸りが出来たじゃまで。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫