烙
烙
名詞
標準
文例 · 用例
その印象の烙きつけられた姿は、おそらく彼女の生涯まで、どんなにしても離れがたく、執拗に生きてつきまとっているように思われた。
— 萩原朔太郎 『ウォーソン夫人の黒猫』 青空文庫
それに比べると、夏の富士は、焙烙色に赭ッちゃけた焼け爛れを剥き出しにした石山であるのに、この水々しさと若さは、どうしたものであろう。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
その上を自動車や、電車や、人間などが、焙烙の上の黒豆のように、パチパチと転げ廻った。
— 葉山嘉樹 『乳色の靄』 青空文庫
十五世紀から十九世紀までも英国で行なわれたような、労働立法を制定して、額に烙印を捺すのが一等だ。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
もし僕の願が叶わないで以て、大哲学者になったなら僕は自分を冷笑し自分の顔に『偽』の一字を烙印します」「何だね、早く言いたまえその願というやつを!
— 国木田独歩 『牛肉と馬鈴薯』 青空文庫
するとしばらくN課長は、ご自慢だとみえる黒髭をひねっていましたが、漸く幾枚かの紙幣を男法界が女に烙印でも捺すように与えて、チタ子をある処へ誘ったようでしたが、彼女は商人的な寝床が気に入らないらしく、これを拒絶すると、翌日の夜を仮約束していました。
— 吉行エイスケ 『大阪万華鏡』 青空文庫
鼎に似ると、烹るも烙くも、いずれ繊楚い人のために見る目も忍びないであろう処を、あたかも好、玉を捧ぐる白珊瑚の滑かなる枝に見えた。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
病友はまたずっと溯った幼時の思い出を懐しもうとするのか、フライパンで文字焼を焼かせたり、炮烙で焼芋を作らせたりした。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫