焼痕
やけこん
名詞
標準
文例 · 用例
そして厭が応でも焼痕が残らなければならないのだ。
— 小栗虫太郎 『聖アレキセイ寺院の惨劇』 青空文庫
よれよれの皺の波、酒染の雲、煙草の焼痕の霰模様。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫
その最初の印象は烙印のやうに黒ずんだ焼痕を残してゐる。
— 北條民雄 『外に出た友』 青空文庫
もぐさが全部燃えてしまふと、その焼痕は真黒の水膨れになつてぶくぶくしてゐる。
— 北條民雄 『癩院記録』 青空文庫
タカ子の顔の焼痕は注意して眺めなければ認めることができないほど昔のまゝに治っていたが、両眼の失明は取り返すことができなかった。
— 坂口安吾 『アンゴウ』 青空文庫
三十五、六の、これも昔は好い女だったに相違ありませんが、左半面は恐ろしい焼痕で滅茶滅茶に突っ張った上、声が多年の木戸番か何んかで壊したらしく、恐ろしい塩辛声で、顔を見ずに聴いていると、男か女かわからないほどの凄まじいものです。
— 怪盗系図 『銭形平次捕物控』 青空文庫
尤も美しく見えるのは左半面だけで、右半面は大|焼痕で引っ釣りだらけの上、眼まで潰れて居りますから、此方の側からはとても二た眼とは見られません。
— 第七夜 歓楽の夢魔 『新奇談クラブ』 青空文庫
」「あッ」 覚束なくも重い瞼を開くと、眼の前にあるのは、引っ釣りだらけの焼痕の顔、美しい花枝の手が、何時の間にやら、女乞食のお若の手に代って居たのでした。
— 第七夜 歓楽の夢魔 『新奇談クラブ』 青空文庫