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戞々

戞々
名詞
1
標準
文例 · 用例
」 と答えて二人、しずかに立ち上った時、戞々たる馬蹄の響きが聞えて、「待て、待てえ!
太宰治 新釈諸国噺 青空文庫
」としんみり言って、一両の褒美をつかわし、ひらりと馬に乗り、戞々と立ち去ったが、人足たちは後を見送り、馬鹿な人だと言った。
太宰治 新釈諸国噺 青空文庫
紺絞りの首抜きの浴衣を着て、赤|毛布を引き絡い、身を持て余したるがごとくに歩みを運び、下駄の爪頭に戞々と礫を蹴遣りつつ、流れに沿いて逍遥いたりしが、瑠璃色に澄み渡れる空を打ち仰ぎて、「ああ、いいお月夜だ。
泉鏡花 義血侠血 青空文庫
石が葉を分けて戞々と崖へ当った。
梶井基次郎 闇の絵巻 青空文庫
つく杖の音が戞々とする。
断片 小さき良心 青空文庫
ぶんぶんという鳴弓の声、戞々という羽子の音。
岡本綺堂 思い出草 青空文庫
急に、皆が静かになつたかと思ふと、戞々たる馬蹄の響がして、霊柩を載せた馬車が遺族達に守られて、斎場へ近づいて来るのだつた。
菊池寛 真珠夫人 青空文庫
競走馬上りだけにかんのいい牝馬は、すぐ駈足になって戞々たる馬蹄の音を立てながら前川邸近い森の中に走り入ろうとしたように見えたが、何人かの悲鳴が聞えると同時に、たちまち馬が、竿立になり、タッタタッタと、二、三歩後退した。
菊池寛 貞操問答 青空文庫