馬の尾
うまのお
名詞
標準
文例 · 用例
馬の尾に巣くう鼠はありと聞けど。
— 泉鏡花 『海の使者』 青空文庫
それに靴ぬぎもあれば革のスリッパもそろえてあり馬の尾を集めてこさえた払子もちゃんとぶらさがっていました。
— 宮沢賢治 『茨海小学校』 青空文庫
「…………」 一散に遁げもならず、立停まった渠は、馬の尾に油を塗って置いて、鷲掴みの掌を辷り抜けなんだを口惜く思ったろう。
— 泉鏡花 『春昼後刻』 青空文庫
どうして拵えますかというと、鋏を持って行って良い白馬の尾の具合のいい、古馬にならないやつのを頂戴して来る。
— 幸田露伴 『幻談』 青空文庫
我馬の尾に縋りて泅がんこともたやすからねば、鞍の半を分けて參らすべし。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
しかし、そのうちにふと顔を上げて見ますと、自分の頭の真上には、鋭く尖った大きな刀が、一本の馬の尾の毛筋で真っ逆さに釣り下げられていたので、びっくりして青くなりました。
— 鈴木三重吉 『デイモンとピシアス』 青空文庫
海の底に足がついて、世に疎きまで思い入るとき、何処よりか、微かなる糸を馬の尾で摩る様な響が聞える。
— 夏目漱石 『幻影の盾』 青空文庫
「お前の一身上の事に就いてだがの」 纔にかく言ひしのみにて、彼は又|遅ひぬ、その髯は虻に苦しむ馬の尾のやうに揮はれつつ、「いよいよお前も今年の卒業だつたの」 貫一は遽に敬はるる心地して自と膝を正せり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫