陰地
かげち
名詞
標準
文例 · 用例
昨年、山陰地方で行われたという、××君の手紙である。
— 黒島傳治 『鍬と鎌の五月』 青空文庫
そしてそこらの陰地やじめじめした水溜の附近を、揃ひのくちなし色の羽をさも見せびらかすやうに、ひよくりひよくりと気取つた身ぶりで長い尻尾を振りながら、爪立ちして歩き廻つてゐる。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
唯、木陰地の濕氣にも似て、日の目も知らぬ淋しき半生に、不圖天上の枝から落ちた一點の紅は其人である。
— 石川啄木 『二筋の血』 青空文庫
聲の所在を覓むる如く、キョロ/\と落着かぬ樣に目を働かせて、徑もなき木陰地の濕りを、智惠子は樹々の間を其方に拔け此方に潜る。
— 石川啄木 『鳥影』 青空文庫
――ひたひたと木陰地に寄せて、足もとの朝草小露明らみぬ。
— 石川啄木 『詩』 青空文庫
二人は、それで安心して道行をきめ込み、一旦、山陰地方の乗合会社に身を潜めたが、二千円の金を費い果すと大胆にも、昨、昭和八年の夏、又もや東京へ舞い戻って来て、小梅に同棲し、姦夫の戸若は三徳材木店専属のトラックの運転手となっていた。
— 夢野久作 『衝突心理』 青空文庫
あれの流行して來たのは東京あたりでもまだ昨日のことのやうにしか思はれないのに、今日はもうこんな勢で山陰地方にまでゆきわたつた。
— 島崎藤村 『山陰土産』 青空文庫
山陰地方に名高い出雲浦を一※りして見るといふ樂しみもあつた。
— 島崎藤村 『山陰土産』 青空文庫