荒蕪
こうぶ
名詞
標準
文例 · 用例
一日辻潤來り、わが生活の荒蕪を見て唖然とせしが、忽ち顧みて大に笑ひ、共に酒を汲んで長嘆す。
— 萩原朔太郎 『氷島』 青空文庫
はじめ天和、貞享の頃、津軽半島地方に於いて、日本海岸の砂丘数里の間に植林を行ひ、もつて潮風を防ぎ、またもつて岩木川下流地方の荒蕪開拓に資した。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
稲田桑畑芋畑の連なる景色を見て日本国じゅう鋤鍬の入らない所はないかと思っていると、そこからいくらも離れない所には下草の茂る雑木林があり河畔の荒蕪地がある。
— 寺田寅彦 『日本人の自然観』 青空文庫
荒蕪地の方は、ハリエニシダの花が満開中で、四月の太陽を受けて、黄金色に燦爛としていた。
— コナン・ドイル 『自転車嬢の危難』 青空文庫
私は荒蕪地を走り抜けて、木の間を通してそれを覗いた。
— コナン・ドイル 『自転車嬢の危難』 青空文庫
荒蕪せる丘陵の間、時に穀の長ぜる田圃あり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
シチリアの自然、その豐饒の一面と荒蕪の一面とはこゝにあり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
荒蕪地つづき、廃れ立つ礎燃えて烈々と煉瓦の火気に爛れたる果実のにほひそことなく漂湿る。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫