雛児
すうじ
名詞
標準
文例 · 用例
おくれた座敷は、若い妓の背後に控えて、動く処は前へ立って目立たないように取り廻す、というのであるから、お茶屋の蔵の前に目の光る古狸から、新道の塒を巣立ちの雛児まで、「ああ、いい姉さん。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
お祖母様が雛児のように抱いてござった小児衆も二人、一所に死んだぞの。
— 泉鏡花 『甲乙』 青空文庫
「うむ、雛児ばかり食つてるのさ。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
実を言ふと、僕はこの齢になつて、まだ泥棒をした事が無いんだから、巧く往けるやうにと思つて、毎日|宅の鶏小舎から雛児を盗んでは、それを料つてるんだあね。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
」「へえ、雛児を盗んでるつて毎日……」と友達は大事さうに紙包を左の腋下に持ち替へながら、可笑しさうに首を振つた。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
」と俳優は自慢さうに、雛児を盗み出す自分の両手でもつて顔を撫でてみせた。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
成程聞いてみると、結構な訳だが、唯それだけの事なら、いつそ英吉利の俳優と同じやうに、自分|許の雛児を盗み出したが、一番手つ取早い。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
雛児の卅|羽も取り出すうちには、顔も艶々しくなる上に、立派な芸さへ覚える事が出来る。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫