従大
じゅうだい
名詞
標準
文例 · 用例
が、当時何よりも少女の心をいためたのは、「これを手本になさい」と云われて少女が日毎にその御手を習いながら、人知れず物語の主人公に対するようなあくがれの心を抱いていた、侍従大納言の姫君までが、その春乳母と同じ疫病に亡くなられてしまった事だった。
— 堀辰雄 『姨捨』 青空文庫
そのたびに、少女は乳母の亡くなったのは此頃だと悲しく思い出し、又、同じ頃亡くなった侍従大納言の姫君の手跡を取り出しては、一人であわれがったりしていた。
— 堀辰雄 『姨捨』 青空文庫
「実はわたくしは侍従大納言殿の姫君の生れ変りなのでございます。
— 堀辰雄 『姨捨』 青空文庫
次には亜槐集といふ歌の巻にも、侍従大納言実隆卿の許より、しなの桜の返り花の枝に挿して、待つけん人の見がたき宿なれや年に稀なる花咲きにけりの一首を贈られたといふことが出て居る。
— 柳田國男 『信濃桜の話』 青空文庫
こちらがそんな氣持ちでそれに向つて見ると、日記のそのあたりで、彼女がつぎつぎに出逢ふところの三つの死――侍從大納言の女の死、乳母の死、それから姉の死の前後を描いてゐるところなど、非常に省略した筆ながら、それが反つて效果的に見える位、驚くほど生彩を帶びてゐるのが感ぜられて來る。
— 堀辰雄 『姨捨記』 青空文庫