蒸し返し
むしかえし
名詞
標準
文例 · 用例
帰りの汽車では忘れずに農園のチューリップと、チューリップの農園の概観を網膜に写すことによって往路の小発見の満足を蒸し返し完成することを忘れなかった。
— 寺田寅彦 『箱根熱海バス紀行』 青空文庫
「ねえ、映画いこうよ」 慶一がまた、さっきの話を蒸し返し、頭をさげる。
— 第2章 メリーゴーラウンド、1967年 『45回転の夏』 青空文庫
強いて話を求めても、以前したことのある話の蒸し返ししか出来ない。
— 中島敦 『狐憑』 青空文庫
強ひて話を求めても、以前したことのある話の蒸し返ししか出來ない。
— 中島敦 『狐憑』 青空文庫
いくたびの降る雨に、土に籠る青味を蒸し返して、湿りながらに暖かき大地を踏んで近づいて来る。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
つまり彼は何度でも同じものを蒸し返すことができるのであるし、また彼の足跡はさうした蒸し返し(画題的には)によつて現在に到つてゐるのである。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫
今サッキ話しかけた推進機の一件を、モウ一度|印度洋で蒸し返した時なんぞは、今思い出してもゾッとする目に会ったね。
— 夢野久作 『焦点を合せる』 青空文庫
そうなると、元弘、建武の昔の蒸し返しで、遠からずまた戦乱の世の中となるかもしれない。
— 第二部上 『夜明け前』 青空文庫