幻辞.com

雛芥子

ひなげし
名詞
1
標準
文例 · 用例
恋の火の白熱は、凝って白玉となる、その膚を、氷った雛芥子の花に包んだ。
泉鏡花 海神別荘 青空文庫
雛芥子が散って実になるまで、風が誘うを視めているのだ。
泉鏡花 紅玉 青空文庫
雛芥子の紅は、美人の屍より開いたと聞く。
泉鏡花 七宝の柱 青空文庫
――爺さんは、当夜植木|店のお薬師様の縁日に出た序に、孫が好きだ、と草餅の風呂敷包を首に背負って、病中ながらかねて抱主のお孝が好いた、雛芥子の早咲、念入に土鉢ながら育てたのを丁寧に両手に抱いて、来て、途中頭の上の火事に慌てながら、驚破や見舞、と駆込んで、台所口へ廻ったのが、赤熊と一足違い。
泉鏡花 日本橋 青空文庫
あたかも甚平の魂のごとくに挫けて、真紅の雛芥子は処女の血のごとく、めらめらと颯と散る。
泉鏡花 日本橋 青空文庫
中にも旅僧は何をトッチたか、膝で這廻って、雛芥子の散った花片の、煽で動くのを、美しい魂を散らすまいとか、胸の箱へ、拾い込み拾い込みしたのである。
泉鏡花 日本橋 青空文庫
雛芥子が散つて実に成るまで、風が誘ふを視めて居るのだ。
泉鏡花 紅玉 青空文庫
襖の根に置いてある本棚の側に、白い大きな壺に雛芥子の花が沢山|束ねて※してあるのが、電気の灯の中に赤く目立つて見えた。
鈴木三重吉 桑の実 青空文庫