百折
ひゃくせつ
名詞
標準
文例 · 用例
ちょっと退いてやれ」 百折れ千折れ、五間とは直に続かぬ坂道を、呑気な顔の女が、ごめんやすと下りて来る。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
元来轟君は金持に似合わない精悍な、腕力と自信の持主で、株式界にいた頃でも百折不撓の評判男だったそうです。
— 夢野久作 『二重心臓』 青空文庫
失敗とか、成功とかは論ぜず、トニカク空想を実行に移して、百折屈せざるの先例を見出すことは愉快と言わねばならぬ。
— 椰子林の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
さて、通されて密談ということになって、三位から討幕の秘計を諄々と聞かされてみると、今度はその内容に於て、実際恐れ入った、我々の考えている以上の周密と、思っている以上の大胆と、百折不撓の決心を持っておられるには驚いた。
— 椰子林の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
かの米人の百折不撓、耐忍不抜の精神は、全くこの感化によらざるはなし。
— 井上円了 『欧米各国 政教日記』 青空文庫
」〔道フ莫カレ羊腸ノ行路険シク/也勝ル百折ノ世途ノ難キニト〕と言った。
— 永井荷風 『下谷叢話』 青空文庫
この頃欧米の宣教師は、耶蘇教をチベット人に伝えようとして百折不撓の精神をもって、熱心に布教に従事して居られるのは実に感服の至りであるけれども、かの国は鎖国であるからして内地人には少しもその教えを及ぼすことは出来ない。
— 河口慧海 『チベット旅行記』 青空文庫
但し人生左の言あり、 百折不撓」 まことに正造は病室にただ独り黙考するとき「皆な失敗のみ」の感を深くせざるを得なかった。
— 大鹿卓 『渡良瀬川』 青空文庫