蘊
蘊
名詞
標準
文例 · 用例
自分の臨床上の技倆と研究上の蘊蓄とを、院長はじめ他の人々のそれと比較すべき時が來た。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
手にものもたで 十字架にすがる、とは汝の常に歌いし処にして、その蘊奥なる意義を知らんがため汝は今働くこと能わざるものとなれり。
— 内村鑑三 『基督信徒のなぐさめ』 青空文庫
然れども、之を以て直ちに老生の武術に於ける才能の貧困を云々するは早計にて、嘗つて誰か、ただ一日の修行にて武術の蘊奥を極め得たる。
— 太宰治 『花吹雪』 青空文庫
もし全般に通じようとすれば勢い浅薄に流れ、もし蘊奥を極めんとすれば勢い全般の事は分らずにしまわなければならぬような有様である。
— 寺田寅彦 『科学上における権威の価値と弊害』 青空文庫
学会などにおけるディスカッション振りにも、やはり優れた頭脳と蘊蓄を示して、常に「最後の言葉」を話す人であったそうである。
— 寺田寅彦 『工学博士末広恭二君』 青空文庫
かの女はそろ/\出かかつた月の光を吸ひつゝ木の茂みから来る理智的な湿り気と、大地から蒸発する肉情的な蘊気の不思議な交錯の中に漂渺とした気持ちになつて、いくつか生垣について角を折れ曲つた。
— 岡本かの子 『夏の夜の夢』 青空文庫
幼年から数奇な運命は彼の本来の性質の真情を求めるこころを曲げゆがめ、神秘的な美欲や愛欲や智識欲の追躡といふやうな方面へ、彼の強鞣な精神力を追ひ込み、その推進力によつて知らぬ間に、彼の和漢の学に対する蘊蓄は深められてゐた。
— 岡本かの子 『上田秋成の晩年』 青空文庫
彼はその数十年の蘊蓄を傾けて、フランス料理の憲法を編み初めた。
— 岡本かの子 『食魔に贈る』 青空文庫