空城
くうじょう
名詞
標準
文例 · 用例
そうして九州に、関東に、その居所を移しているので、城はふたたび空城同様になってしまった。
— 岡本綺堂 『小坂部姫』 青空文庫
空城のあいだはおのれらの宿にも仮したれ、秀吉がここに来たり住むからは、おのれらに一刻も仮すことはならぬ。
— 岡本綺堂 『小坂部姫』 青空文庫
「潮は空城を打つて寂寞回る」、幾度び誦して見ても寂しい此句の趣は尽きない。
— 吉江喬松 『海潮の響』 青空文庫
波と寂寞との争ひ、人去つて何も住まない空城に、この潮と寂寞との戦闘は終夜暗中でつゞけられてゐるのである。
— 吉江喬松 『海潮の響』 青空文庫
もし冬季を以て城楼に結ばば空城古城の感を増すを以て、「たのもしき」といふ語は不適当となるべし。
— 正岡子規 『俳諧大要』 青空文庫
「この分では、清洲も空城となっておろう」 今川家の将士らは、むしろ坦々とした道の無聊に、武装の気懶さを思うくらいだった。
— 第二分冊 『新書太閤記』 青空文庫
だから稲葉山城は一夜にして空城となっても、半兵衛重治がそれに坐って、城下の平和はすこしも紊れなかったが、四隣の国々は、その実相を知ると、彼の鬼謀胆略に驚倒した形で、この機に――とばかり争って彼に款を通じて来た。
— 第三分冊 『新書太閤記』 青空文庫
武田方の砦々は、風を望んで降ってしまい、武田一族が守るところの松尾城も飯田の城も、夜が明けてみると、空城になっている。
— 第六分冊 『新書太閤記』 青空文庫